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患者まで届いている再生医療

毛球部毛根鞘細胞(DSCC)を用いた壮年性脱毛症に対する臨床研究

坪井良治新山史朗中沢陽介岸本治郎入澤亮吉原田和俊

再生医療 Vol.17 No.1, 53-58, 2018

頭髪は年齢とともに薄くなっていくが,外見上の印象を大きく左右するので本人の生活の質に及ぼす影響は大きい。なんとか毛髪量を回復させたいと願うのは,程度の差はあれ,誰もが抱く願望である。毛髪量を回復させる方法の1つとして,いま再生医療技術が注目されている。
脱毛症には様々な種類があるが,年齢とともに前頭部や頭頂部が薄くなるパターンを示すものに壮年性脱毛症,つまり男性型脱毛症と女性型脱毛症がある1)。海外では男女の壮年性脱毛症を総称してパターン脱毛症(pattern hair loss)と呼称されている。男性型脱毛症は,前頭部や頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなり,最終的には頭髪がなくなる現象である。20歳代後半から30歳代にかけて著明となる。毛周期を繰り返すなかで成長期が短くなり,休止期に留まる毛包が多くなることで発現する。男性ホルモンの影響が強いとされている。一方,女性では頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなり髪際部が残るパターンとして観察される。発症時期も男性より遅く更年期に顕在化する。病態は必ずしもホルモン依存性ではない1)
「KEY WORDS」男性型脱毛症/毛髪再生/再生医療技術/毛球部毛根鞘細胞/細胞加工培養施設

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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