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巻頭言

インフルエンザからコロナへ,そして,インフルエンザの備えを強化へ

葛西健

インフルエンザ Vol.22 No.1, 5-6, 2021

2019年12月31日の夜,次長から中国の武漢で原因不明の肺炎の集団発生が起きているとの連絡があり,翌日元旦から休むことなくCOVID-19の対応にあたっている.その対応のベースになってきたのが,新型インフルエンザパンデミックへの備えである.
WHOの健康危機管理は,国際的な健康危機管理の法的枠組みである国際保健規則(IHR)に則って行われる.IHRは1969年に初めて採択され,その後幾度か改正を繰り返してきたが,現行のIHRはまさに2003年のSARSの経験を踏まえて改正されたものである.その改正IHR1)において,各国には情報の共有と対応能力の強化が義務付けられた.WHO西太平洋地域では,各国の対応能力強化のためにアジア太平洋感染症戦略(APSED)2)を策定し15年にわたってさらなる強化を行ってきた.常に念頭にあったのが,新型インフルエンザパンデミックへの備えである.アジアは,多くの鳥インフルエンザウイルスの流行のホットスポットであり,定期的にさまざまなタイプの鳥インフルエンザのヒトへの流行が報告されている(図1).WHOが出している新型インフルエンザ関係のさまざまなガイダンスも活用しながら,対応能力の強化を行ってきた.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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