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インフルエンザ講座

(40)インフルエンザ治療における麻黄湯の役割

河合直樹江田邦夫岩城紀男池松秀之西村美香柏木征三郎

インフルエンザ Vol.12 No.3, 86-91, 2011

SUMMARY
 インフルエンザに保険適応がある漢方薬の麻黄湯の有用性について検討した.A型,B型における解熱時間(投与開始~解熱)はオセルタミビル(Os)やザナミビル(Zn)とほぼ同等ないし若干長いが,シーズンやウイルス(亜)型によってやや異なり,また成人よりも小児で長い傾向にあった.発熱時間(発症~解熱)は抗インフルエンザ薬の非投与例よりも麻黄湯投与により短縮する傾向にあった.麻黄湯投与後のウイルス残存率はOsやZn投与後よりもA型では高く,B型ではむしろ低い傾向にあった.インフルエンザに対する麻黄湯の効果はサイトカイン調節作用が中心と思われるが,一部抗ウイルス作用も示唆された.麻黄湯はインフルエンザ治療薬として有用と考えられた.

KEY WORDS
■インフルエンザ ■漢方薬 ■麻黄湯 ■抗ウイルス作用 ■サイトカイン

はじめに

 漢方薬は古来インフルエンザを含む急性熱性疾患に広く使われており,麻黄湯,葛根湯,麻黄附子細辛湯などはその代表的な存在と思われる.特に麻黄湯は初期のインフルエンザに保険適応があり,インフルエンザ治療薬として臨床現場で広く使われている.麻黄湯の作用機序としてはインフルエンザウイルスの増殖抑制作用,サイトカインの調節作用などが考えられているが1)2),実際には十分解明されているとはいいがたく,また臨床的有用性についてもまだ評価が確立したとはいいがたい.ここではこの麻黄湯について,解熱までの時間やウイルス残存率などに関する日本臨床内科医会(日臨内)の成績を提示するとともに,インフルエンザ治療における本薬の役割を考えてみたい.

1 迅速診断のA型,B型別の解熱時間

 表1は2006/2007~2008/2009年シーズンの日臨内データにおいて,薬剤投与開始から解熱までの時間(以下,解熱時間)を麻黄湯,オセルタミビル,ザナミビルの3剤で比較した結果を迅速診断のA,B型別に示す(2007/2008年シーズンはB型の流行はない).

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