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特集 臓器の記憶と血管代謝ニッシェ

心臓ストレス記憶形成機構と心不全への分子機構

佐野元昭

血管医学 Vol.16 No.4, 29-34, 2015

「Summary」血行力学的ストレスは,「代謝の変化」という形で心臓に「記憶」され,心不全へと導く.代謝産物は,エピジェネティック修飾の基質となるため,「代謝の変化」はエピジェネティック修飾を介して,転写コードも変えている.臓器の記憶は,間質にも刻印される.心筋組織中のニッシェに存在するマクロファージや線維芽細胞の代謝産物を介したクロストークは,炎症・線維化の制御を介して,心臓の組織学的改変(リモデリング)に重要な役割を果たしている.心筋細胞や間質の細胞群の代謝を制御することは,臓器の記憶を書き換え,臓器を健常な状態に戻すことによって,真に「心不全を治す」ことができる新しい治療法を開発する可能性を秘めている.
「Key words」心不全,心筋代謝,エピジェネティックス,分子標的,炎症,線維化

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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