<< 一覧に戻る

特集 臓器の記憶と血管代謝ニッシェ

骨形成・吸収を制御する骨リモデリングコンパートメントでの記憶

高野晴子千葉彩乃宮崎敬大望月直樹

血管医学 Vol.16 No.4, 15-20, 2015

「Summary」骨の成長と維持機構は,形成と吸収のバランスによって成立している.この形成・吸収を制御しているのが骨リモデリングコンパートメント(BRC)である.海綿骨でも皮質骨でも,骨芽細胞・破骨細胞・血管によって構成されるBRCを認める.われわれは,皮質骨BRCに骨膜も含んだ機能を想定している.BRCによる骨形成・吸収機構に関わる遺伝子・蛋白質に変化が刻まれ,生理機構の増強や病態での再活性化が起きること,すなわち“記憶のrecall”による調節が生体反応として生じることを明らかにしたいと考えている.
「はじめに」高齢化社会を迎えるにあたり加齢とともに避けがたい疾患として血管疾患(脳血管疾患,虚血性心疾患)がある.一方,骨粗鬆症も女性(エストロゲン低下)だけではなく男性でも加齢とともに増加する.これは,血管疾患を起因とする長期臥床の結果としての運動量の低下による骨への荷重の減少によって生じることも考えられる.
「Key words」骨形成・吸収,骨リモデリングコンパートメント(BRC),血管,骨膜

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る