特集 インクレチン製剤と心血管代謝病
インクレチン製剤の抗動脈硬化作用
血管医学 Vol.15 No.4, 33-40, 2014
「Summary」心血管疾患の主な原因のひとつとされる糖尿病は,高齢化と食の欧米化とともに増加の一途をたどっている.近年,インクレチン製剤であるGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)やDPP-4阻害薬が2型糖尿病の血糖コントロールに広く用いられているが,これらの糖尿病治療薬は単なる血糖降下にとどまらない多面的作用がある.GLP-1は食後高血糖,食後高脂血症,血圧を改善させる間接的な作用のみならず,直接的な抗動脈硬化作用がある.また,最近ではGLP-1Rに対する抗体の非特異的な反応が指摘され,GLP-1の心臓への直接作用が疑問視されている.DPP-4阻害薬には炎症やインスリン抵抗性を惹起するDPP-4(CD26)を直接抑制する作用や,DPP-4基質による抗動脈硬化作用や心臓に対する効果が注目されている.
「Key words」2型糖尿病,DPP-4阻害薬,GLP-1,マクロファージ,動脈硬化,心血管疾患
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