特集 インクレチン製剤と心血管代謝病
インクレチン関連薬の血圧に及ぼす効果
血管医学 Vol.15 No.4, 23-32, 2014
「Summary」インクレチン関連薬の投与により,HbA1cや体重減少と同様に,血圧降下作用を認めた臨床研究や動物実験などが最近報告されてきており,高血圧を合併した糖尿病患者に対しての血圧改善効果が期待できる.インクレチン関連薬による内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の活性化や,一酸化窒素(NO)産生の増加による血管拡張,心房利尿ペプチド(ANP)分泌の増加や,尿ナトリウム再吸収の抑制によるナトリウム排泄の亢進などが血圧改善に影響していると考えられる.それらの効果はGLP-1受容体を介した機構以外にも,DPP-4阻害薬によるGLP-1受容体を介さない機構も認めており,DPP-4からの分解を免れる物質が血圧を改善させる可能性も考えられ,今後これらの機構がより明らかにされていくことを期待する.
「Key words」GLP-1受容体作動薬,DPP-4阻害薬,血圧,血管内皮機能,尿ナトリウム排泄
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。