【特集 網羅解析からの血管研究アプローチ】
網膜血管新生における網羅遺伝子発現解析
掲載誌
血管医学
Vol.14 No.4 29-35,
2014
著者名
植村明嘉
記事体裁
抄録
疾患領域
眼疾患
診療科目
眼科
媒体
血管医学
「Summary」マウス網膜では出生直後から血管発生が開始するため, 血管網の形成過程を経時的に観察できることに加え, 遺伝子組換えや薬剤投与による分子操作が容易に行える. こうした利点を活かし, 近年ではマウス網膜血管の研究成果をもとに, 血管新生の普遍的原理を解明しようとする機運が高まっている. 特に, 新生仔マウス網膜を用いた網羅遺伝子発現解析では, 内皮細胞の動態を制御する多数の新規遺伝子が同定されており, 創薬開発につながる可能性が期待されている. 本稿ではマイクロアレイ法を用いた, 網膜血管新生における網羅遺伝子発現解析につき解説する. 「はじめに」網膜は, 胎生期に間脳から突出する眼胞を原基とし, 脳と同様に神経細胞, グリア細胞, 血管から構成される. 網膜血管の発生は, ヒトでは妊娠14週頃, マウスでは出生直後から開始し, 網膜の中心に位置する視神経乳頭から周辺部に向かって新生血管が放射状に伸長する(図1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。