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長い時空を旅する血液

第6回 “もう一人の天才ダ・ヴィンチ”の循環器観

丸山征郎

血管医学 Vol.13 No.3, 123-127, 2012

これまでの本エッセイで, 筆者が文献を狩猟しつつ, 筆を進める過程で最も心打たれて感動したのは, 「血液が循環する」という当時は誰も想像さえしなかったコンセプトを創出したW・ハーヴィ(William Harvey: 1578~1657, イギリス)の一生に関して紹介したくだりである[長い時空を旅する血液: 第2回/血液は循環する: "流れる組織=血液"の運河1)]. その項で筆者は"我がW・ハーヴィ"が「血液循環説」というとてつもない理論構築に至った動機について, 当時のハーヴィの時代と環境を, 自らの推察を交えて紹介した. すなわち「血液循環説」という画期的な学説を思い付いたのは, 彼が当時の解剖学のメッカであった北イタリアのパドヴァ大学に留学したことが大きく影響しているであろうと(図1). それは, このパドヴァ大学には, かの人体解剖の大著たる「ファブリカ」を著した解剖の父たるアンドレアス・ヴェサリウス(Andreas Vesalius: 1514~1564)が前任者として解剖学を大いに立ち上げていたからである.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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