Summary マウスの心臓においてマイクロRNA(microRNA;miRNA)全体の生成過程が障害されると,心機能低下につながり最終的に死に至る.そのためmiRNAが心臓に必須の因子であり,ヒトにおいてもその発現変化が少なからず病態生理に影響を及ぼしているものと考えられる.心肥大におけるmiRNAの発現変化はおもにマウス大動脈縮窄モデルにおけるマイクロアレイ解析により明らかにされている.それらを元にした培養心筋細胞や遺伝子改変マウスによる研究から,特定のmiRNAの発現変化により心肥大が引き起こされることが明らかにされている.これまでのところmiRNAは心肥大にかかわる遺伝子の発現を制御することにより,その形成に寄与していると考えられている.