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目でみるシリーズ 画像でみる緑内障の病態

第15回 房水静脈に注目した流出路再建術

米山諒笠原正行

Frontiers in Glaucoma No.60 1-6, 2020

近年,低侵襲かつ比較的短時間で簡便に行うことのできるMIGS(minimally invasive glaucoma surgery)が普及してきている.国内においてはシュレム管をターゲットとしたMIGSのみが承認されている.デバイスを留置する術式はiStent®手術のみであり,他は使用するデバイスの違いはあるがすべてTrabeculotomy ab internoである1)-6).すなわち,角膜切開により眼内からアプローチをして,隅角鏡直視下で傍シュレム管結合組織とシュレム管内壁を合わせて切開,もしくは切除,あるいはステントを留置することで前房圧を下げるというコンセプトの術式である.結膜が温存できるという利点はあるが,従来の眼外法と同様に上強膜静脈圧を下回る眼圧値までの下降は難しい.これまでの報告から,術後眼圧は10mmHg台半ば,1年生存率は約60〜70%程度であることが知られている7)-12).安全性を重視した場合,20mmHg程度までの眼圧下降を目指した手術としては有効な術式と考えられるが,約30〜40%の効果不十分例が存在することも事実である.背景因子として,白内障同時手術や落屑緑内障に対しては効きやすく,原発開放隅角緑内障(primary open angle glaucoma:POAG)やレーザー繊維柱帯形成術(SLT)の既往がある症例に対しては効きにくいと報告されている8)12).他にも成績に関与する背景因子が明らかになれば,手術効果の予測精度は向上し,手術適応の拡大に繋がると考えられる.そんななか,近年,術前や術中の房水静脈循環と術後成績の関係についての報告が注目されている13)-15).流出路再建術のMIGSである以上,理論上は最終的に房水が流入する房水静脈や上強膜静脈の流れが滞っていれば,手術効果は得られにくいことが推測される.本稿では,筆者らの施設において,代表的なMIGSであるトラベクトーム手術前と手術中の房水静脈の状態を撮影することができた症例を提示し,房水静脈動態と術後成績について考えていきたい.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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