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臨床高血圧第100号記念座談会 高血圧治療の歴史的展望

DISCUSSION 2 腎臓とRA系,慢性腎臓病,妊娠高血圧症

荒川規矩男伊藤貞嘉鈴木洋通

臨床高血圧-CLINICAL HYPERTENSION- Vol.21 No.2, 13-19, 2015

「レニン・アンジオテンシン系の本来の役割は, 食塩の体内への保持」
荒川:今回の100号記念座談会は,腎臓とレニン・アンジオテンシン(renin-angiotensin:RA)系,RA系と慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD),妊娠高血圧症候群などについて,伊藤貞嘉先生と鈴木洋通先生をお迎えし,最新の話題を伺っていきたいと思います.レニンは今から117年前(1898年)に発見されましたが1),その後長い間まったく注目されていませんでした.発見から36年後にGoldblattらが「腎動脈狭窄による実験高血圧犬の作製」2)に成功したことが火付け役となって,5年後には昇圧活性をもつのはレニンではなくアンジオテンシンであることが2つのグループによって同時に発見されました3,4).しかし,そのアンジオテンシンの関係が解明されるまでにはさらに17年を要して,1956年にSkeggsら(クリーブランド)5,6)がはじめてRA系の全貌を生化学的に解明しました.ただしそれまでは動物を用いた研究報告ばかりでした.そこで私どもは,1966年にヒトのアンジオテンシンを単離し,構造式を同定しました7).その結果,ヒトのアンジオテンシンは,Skeggsが解明していたウマの構造と同じということがわかりました.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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