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第86回常在細菌叢の解析と治療的応用 高度侵襲外科手術と腸内細菌叢

横山幸浩梛野正人

Surgery Frontier Vol.22 No.3, 63-65, 2015

「はじめに」一般外科領域における高度侵襲外科手術の代表的なものとしては,大量肝切除術,食道亜全摘術などがある。このような高度侵襲外科手術後には感染性合併症が高頻度に発生し,これがほかの合併症の引き金になることも多い。したがって,高度侵襲外科手術においては術後感染性合併症の発生を減らすことが重要な課題となる。
「腸内細菌叢について」腸内細菌の99%以上は酸素に対して感受性のある偏性嫌気性菌であり,いわゆる善玉菌と考えられている乳酸菌群のBifidobacteriumやLactobacillusはこの偏性嫌気性菌群に属する。一方,腸内細菌としてよく知られている大腸菌は通性嫌気性菌であり,いわゆる悪玉菌として扱われているが,その便中組成は腸内細菌叢が正常である場合には全体の0.1%未満にすぎない。正常の腸内細菌叢の役割は重要で,これらが便中の細菌叢の多くを占めている場合,悪玉菌の増生を抑制する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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