<< 一覧に戻る

特集 肥満の基礎と臨床

Ⅰ.肥満の基礎 肥満症例における食欲調節の変化

箕越靖彦

Surgery Frontier Vol.20 No.3, 15-19, 2013

「Summary」摂食調節には, 生体のエネルギーバランスを維持するための恒常的(homeostatic)調節機構と非恒常的調節機構がある. 後者は, 「美味な」食事に対して過食となる快楽的(hedonic)調節機構を含む. 視床下部は, 恒常的調節を行う重要な脳領域である. 視床下部は, 高脂肪食の摂取や肥満によって炎症が惹起され, その結果, 調節機構に異常をきたす. また快楽的な調節には, 側坐核を含む線条体, 眼窩前頭皮質, 島皮質, 扁桃体などが関与する. ヒト肥満症例では, 食物イメージに対してこれらの脳領域が強く反応する. しかし, 実際の食事に対しては反応が低下している. このことから, 肥満症例では摂食後のフィードバック機構がうまく働かないことをうかがわせる. 胃バイパス手術は, このような肥満にともなう脳活動の変化を改善する. 以上の結果は, 摂食にともなう脳活動の変化に消化管ホルモンが重要な役割を果たすことを示唆する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る