腫瘍をめぐるQ&A
Question T細胞依存性癌免疫制御の機構
Surgery Frontier Vol.19 No.4, 84-85, 2012
「Answer」「はじめに」抗腫瘍免疫において, 腫瘍抗原を認識するT細胞の誘導・活性化は重大関心事である. 一般に, 生体内には活動を抑制する負のフィードバック機構が備わっており, T細胞に関してもその機構が存在する. 感染防御反応などによる正常組織の巻き添えを最小限にし, また自己組織への異常反応を制御している. その代表が制御性T細胞(regulatory T cell;Treg)である. 近年脚光を浴びるようになったのが, 免疫“チェックポイント”分子と呼ばれるCytotoxic T-Lymphocyte Antigen-4(CTLA-4), Programmed Death-1(PD-1)などのT細胞の膜上に存在する抑制性分子である. 腫瘍免疫に対しても抑制的に働く(図1). 「CTLA-4経路1)」T細胞の活性化段階の非常に初期に抑制的に働く補助刺激分子である. CTLA-4ノックアウトマウスは, リンパ系細胞の種々の組織への無秩序な浸潤により, 生後3週間で死に至る.
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