【特集 病態と遺伝子多型】
特集によせて
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.19 No.1 7-8,
2012
著者名
森 正樹
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
Surgery Frontier
遺伝子多型という文字を専門書のみでなく, 一般の雑誌や本でも見るようになって久しい. それほどにこの語は一般社会に認識されつつあるということであろう. 患者さんのなかには遺伝子多型という語に大変な興味をもつ人も少なくはなく, 遺伝子多型と病気との関係はもとより, 種々の嗜好との関係, 頭脳との関係, さらには性格との関係までも質問される方がいる. 他方, テーラーメイド医療という語も一般社会で頻繁に見るようになってきた. これは個人に最もふさわしい治療を行うというものであるが, 具体的には遺伝的体質に合わせた薬剤の使用が現実的に行われている. この遺伝的体質は, まさしく遺伝子多型により規定されるものと考えられる. したがって, テーラーメイド医療は遺伝子多型の知識なくしては不可能である. 私が遺伝子多型に興味をもったのは, 食道癌の研究をしているときであった. 喫煙や飲酒は食道癌のハイリスク因子として知られるが, 大量に喫煙・飲酒をしている方でも食道癌に罹患しない方は少なくない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。