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悪性腫瘍に対する熱凝固療法の適応と限界

【Ⅰ.RFA】骨腫瘍に対するRFA

Radiofrequency ablation for bone tumor

谷川昇狩谷秀治米虫敦中谷幸八木理絵澤田敏

Surgery Frontier Vol.18 No.3, 58-62, 2011

Summary
 有痛性転移性骨腫瘍に対するラジオ波凝固療法(RFA)について自験例を中心に手技の実際と臨床成績について概説した。自験例24例の成績はRFAにより疼痛の緩和は24例中22例(92%)に認められた。術前のvisual analog scale(VAS)値(0~10)は平均6.8であったが,術後1週目で2.7,1ヵ月後で2.8,3ヵ月後で2.6に低下した。さらに10例で鎮痛剤の減量が可能であった。有痛性転移性骨腫瘍に対する本法の除痛効果は高くその効果は持続的であり有効な治療法ではあるが,本法を広く認知,普及させるためにはエビデンスの確立が必要である。

Key Words
転移性骨腫瘍,ラジオ波,凝固療法,疼痛

はじめに

 ラジオ波凝固療法(RFA)は目的とする腫瘍内にラジオ波電極針を刺入し,その電極針の先端で誘電加温による熱を発生させて腫瘍を凝固壊死させる治療法である。このため,十分な温度上昇が得られる部位であれば,確実な治療効果が期待でき,かつ応用範囲も広い。事実,肝腫瘍を治療対象として開発された本法が,現在では肺腫瘍,腎腫瘍,副腎腫瘍,乳房腫瘍などさまざまな領域の腫瘍に応用され,良好な治療成績が報告されている1)-8)。骨腫瘍に対しても例外ではなく,特に有痛性転移性骨腫瘍あるいは類骨骨腫に対する除痛目的でのRFAは新たな治療法として有望視されている。本稿では,有痛性転移性骨腫瘍に対するRFAについて,われわれの施設での方法,自験例の成績について概説する。

対象患者の選択

 有痛性転移性骨腫瘍に対する標準的治療は放射線治療である。しかしながら放射線治療により疼痛の部分的な改善は90%に認められるが,疼痛の完全寛解は54%にすぎない。さらに12週以内に30%の症例で疼痛の再燃が認められ,再燃症例に対する放射線治療の奏効率は低い9)10)。すなわち,放射線治療のみでは,臨床症状の制御不可能な症例が存在することは事実であり,これらの症例に対してのRFAの意義は大きい。本法の目的が除痛であるため,有痛性の腫瘍のみが対象であり,具体的には放射線治療後の疼痛再発例や,放射線治療の適応外の症例が対象となることが多い。
 脊椎転移に対する本法の適応には議論の余地があるところである。すなわち,熱による腫瘍壊死効果と脊椎に対する熱損傷の危険性の両者を考慮した上で慎重な適応決定が必要である。椎体転移により圧迫骨折を呈した症例に対しては,経皮的椎体形成術(骨セメント治療)が良好な治療成績をあげており,RFAとセメント治療とのどちらを選択するか,あるいは併用するかをも考慮する必要がある(図1)。

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