子宮内膜症の発症機序を単一の仮説で説明することは難しい。子宮内膜移植説は最も合理的な発症仮説であると考えられるが,月経血逆流がほとんどの女性にみられるにもかかわらず,子宮内膜症を発症する割合が限定的であることは大きな疑問である。ここでは,子宮内膜症細胞が有するアポトーシス抵抗性などの性格とともに,宿主側の免疫環境や局所炎症が病変の発生・進展に促進的に作用すると考えられる。インターロイキンを中心とする炎症性サイトカインの病態への関与や生物発光モデルマウスを用いて初期病変を検討した知見を紹介する。