特集 ART―先端技術の理論とエビデンス―
Th1/Th2細胞比の測定と免疫療法
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.29 No.2, 59-65, 2022
妊娠は,男性由来の遺伝子を含む胚を受容する母体の免疫寛容が必要で,その免疫異常は胚の拒絶につながる。反復妊娠不成功はTh1/Th2細胞比を上昇させる可能性があり,特に4回以上胚移植し妊娠しなかった着床不全と2回以上流産した不育症は,Th1有意のTh1/Th2細胞比高値と関与し,タクロリムスを含む免疫療法のターゲットとなり得る。また,ビタミンD欠乏はTh1/Th2細胞比高値と関与し,適度なビタミンD補充は免疫療法の一部としても重要である。さらに反復妊娠不成功でTh1/Th2細胞比が上昇する前に,患者を妊娠・出産に導くことも医療従事者にとって重要である。
「KEY WORDS」タクロリムス,ビタミンD,不育症,不妊症,ヘルパーT細胞
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。