Summary  筆者は,卵巣の血管分布の偏りと,卵胞の選択的発育に相関があることを明らかにしてきた。血管網発達に差異が生じるのは,卵胞発育・閉鎖の結果ではなく,血管網発達の違いが卵胞発育・閉鎖に影響する。すなわち,血管増殖因子は卵胞の血管増殖を誘起するとともに,閉鎖卵胞を救助し卵胞発育を直接的に促進する。一方,卵胞の血管増殖は卵胞膜に限局して誘起される。卵胞膜に限局して,急激に網目状構造をつくるメカニズムはどのようなものであるかに興味をもってきた。このような考えのもとで行ってきた筆者らの成果を紹介する。 Key words ●卵胞発育 ●血管増殖因子 ●閉鎖卵胞救助 ●卵胞血管新生 ●遺伝子治療