<< 一覧に戻る

特集 血栓性微小血管症(TMA)

11.肝移植におけるTMA(血栓性微小血管症)

松井俊樹臼井正信和田英夫伊佐地秀司

血栓と循環 Vol.24 No.1, 59-63, 2016

「論文のポイント」
[1]血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)は,種々の臓器移植後に発症する致死的な合併症であり,骨髄移植後の約6.0%,固形臓器移植後の3.0~5.0%に発症するといわれている1).
[2]肝移植後TMAの発生頻度は7.6~21%と高率で2)3),カルシニューリンインヒビター(calcineurine inhibitor:CNI)や虚血再灌流障害に伴う血管内皮細胞障害,ABO不適合肝移植などが主因をなすと考えられているが,その発生機序はいまだ十分には解明されていない.
[3]TMAの病態は,von Willebrand Factor(VWF)がADAMTS13(a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13)活性の低下または欠損により,適切に切断されず,超高分子量VWF多重体の形で血中に放出され,微小血管において血小板血栓を形成し,その結果微小循環障害に起因する臓器障害を引き起こすことにある.
[4]肝移植では無肝期や虚血再灌流障害等,特殊な凝固・線溶動態を示す期間が存在し,内皮障害に伴うVWFは増加と,肝機能低下に伴うADAMTS13低下により,TMAを発症しやすい凝固動態にある.
[5]TMAは肝移植後の予後に影響を与える重要な合併症の1つであり,早期診断・治療が必要で,ADAMTS13ならびにVWF,VWFppの測定が重要であり,さらに今後肝移植後TMAの発症機転の詳細な解析と適切な治療法の確立が望まれる.
「キーワード」TMA/VWF/ADAMTS13/凝固異常/肝移植

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る