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特集 血栓性微小血管症(TMA)

10.造血幹細胞移植

上田恭典

血栓と循環 Vol.24 No.1, 53-58, 2016

「論文のポイント」
[1]移植後TMAは,原疾患,幹細胞環境,移植前処置,GVHD予防のカルシニューリン阻害薬,GVHD,免疫不全に伴う感染等による血管内皮障害により惹起される予後不良の症候群であり,その多様性を念頭に診療に当たる必要がある.
[2]移植後TMAの診断基準は確立していないが,他の原因で説明できない血小板減少とクームス試験陰性の溶血性貧血が認められる.LDHが上昇し,破砕赤血球が出現する.
[3]移植後TMAの治療には,誘因となった事象の除去が重要である.特にカルシニューリン阻害薬を使用している場合は,GVHDに対する十分な代替療法を準備したうえで,速やかな減量中止を試みる.
[4]移植後TMAは,TTPと異なり大部分の症例でADAMTS13活性の低下,同抗体の産生は認められず,血漿交換療法は標準的な初期治療とならない.しかし,一部の症例での有効性が報告されており,今後の検討が必要である.
[5]移植後TMAの病態について,小児例で補体の活性化が重要であるとの指摘があり,CFHに対する抗体産生例も報告されているが,成人例も含めた意義については解明されていない.安易な抗補体療法は行うべきではない.
「キーワード」血栓性微小血管症/造血幹細胞移植/血管内皮障害/カルシニューリン阻害薬/血漿交換

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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