<< 一覧に戻る

データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

6.包括的管理・治療 10.脳卒中発症に対する微量アルブミン尿の影響―メタ解析

森真由美北園孝成

血栓と循環 Vol.19 No.3, 234-236, 2011

出 典
Lee M, et al:
Impact of microalbminuria on incident stroke:a meta-analysis.
Stroke 41:2625-2631, 2010

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景

 この40年間で,心血管イベントに対する一連のリスク因子が発見されてきた.しかし,アテローム硬化症の多様な病因についての理解が進んだ結果,新たなリスク因子について探求する必要が出てきた.微量アルブミン尿は腎疾患や血管内皮細胞機能不全のマーカーであり,全身の血管リスクと関連している可能性があるが,脳卒中発症との関連性の特徴や影響の強さは明確ではない.本研究において,脳卒中発症のリスクと微量アルブミン尿との関連の整合性と強度を前向きコホート研究のメタ解析を行うことで評価した.

方法

 Pubmed,EMBASE,Cochrane library,MEDLINE,LILACSで系統的検索を行った.選択基準として,①前向きのコホート研究もしくは臨床研究,②脳卒中と微量アルブミン尿の関連について多変量解析が行われ,相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)が定量的に記載されていること,③少なくとも1年間フォローアップされていること,とした.試験参加者の大多数が慢性腎疾患(eGFR<60mL/min/1.73m2,腎移植,Fabry病,子癇または子癇前症)を有している研究は除外した.微量アルブミン尿の定義は,尿中アルブミン排泄量;30-300mg/日もしくは20-200μg/minか,スポット尿中アルブミン濃度;20-300mg/Lか,スポット尿中アルブミン/クレアチニン比;25-300mg/g or 2.8-35mg/mmolとした.データ解析は相対リスクや95%信頼区間として表現される多変量調整後の結果データを使用し,推定値はランダム変量モデルを用いて統合した.2人のレビュアーが選択基準を適応し,データを抽出し,試験の質を評価した.矛盾が生ずれば3人目のレビュアーと議論し,原本を参照した.

結果

 文献検索によって160の報告が選択され,適応基準と除外基準に照らし合わせて,12報告(13解析)を解析対象とした.これらのデータには48,596人の患者と1,263回の脳卒中イベントが含まれていた.その結果,微量アルブミン尿の存在は,確立した心血管リスク因子での調整後も,脳卒中リスクと強く関係していた(RR 1.92, 95%CI 1.61-2.28,p<0.001).Funnel plotでは軽度の非対称性があり,若干のpublication biasが考えられたが,固定効果モデルでのRRは1.82(95%CI 1.65-1.99;p<0.001)であり,やはり有意な関連が得られた.各研究間での関連の強さには有意な不均一性がみられ(P for heterogeneity<0.001,I2=68%),各試験の対象集団の違い,微量アルブミン尿定義の違い,脳卒中サブタイプの違いによって部分的に説明された.しかしながら,層別化解析において,微量アルブミン尿は,すべてのサブグループ(一般の集団,糖尿病患者,脳卒中既往患者)で,以降の脳卒中のリスク増加と関係していた(糖尿病群;RR 1.70,95%CI 1.43-2.04,脳卒中既往群;RR 2.92,95%CI 1.12-7.64).また,虚血性脳卒中(RR 2.21,95%CI 1.44-3.38)との関連は,出血性脳卒中(RR 1.03,95%CI 0.68-1.55)や詳細不明脳卒中(RR 1.66,95%CI 1.48-1.87)より有意に高値だった.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る