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データブック アテローム血栓症の大規模臨床試験 PART3

5.末梢血管・静脈血栓・肺塞栓 8.静脈血栓後症候群の発症予防における圧迫療法の効果

細井温

血栓と循環 Vol.19 No.3, 189-191, 2011

出 典
Musani MH, et al:
Venous compression for prevention of postthrombotic syndrome:a meta-analysis.
Am J Med 123(8):735-740, 2010

※図表に関しましては、割愛させていただいております。

要 約

背景と目的

 深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)発症後における静脈血栓後症候群(postthrombotic syndrome:PTS)の発生頻度に関しては,報告によりばらつきがあり,その重症度もさまざまである.最近では,PTSの発症予防の観点から,DVT後の患者に弾性ストッキングを処方することが一般的となりつつあり,第8回のACCPガイドライン(American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Guidelines)でも,弾性ストッキングがPTSの予防に有用であるとして,その使用が推奨されている.そこで,圧迫療法のPTS発症抑制効果を検討する目的で,メタ解析を施行した.

対象と方法

 PubMedを用いて2009年までの文献で,キーワードとして“postthrombotic syndrome”,“prevention”,“elastic stockings”,“compression therapy”を含むものを検索した.検索された257の文献のうち,治療群(圧迫有り)とコントロール群(圧迫なし)を無作為に比較する試験で,両群で施行された抗凝固療法が同等であり,DVTの診断が客観的検査に基づいたもので,かつ必要十分な生データが示されている5つの報告を抽出し,メタ解析を行った.PTSの臨床的重症度の評価法に関しては,5つのうち3つの報告はVillalta scoring systemを用いており,残りの2つのうち1つはCEAP分類を使用していた.Villalta scoring system を用いた報告では,5~14点が軽症~中等症のPTS,15点以上が重症PTSに分類された.CEAP分類を用いたAschwangenらの検討では,エンドポイントがC4以上の徴候に限られておりC1~3の徴候は考慮されていないため,今回の解析ではC4を軽症から中等症,C5, 6を重症と解釈してメタ解析を行った.一方,Ginsbergらの報告は重症度の評価を施行せずに,独自の基準でPTSの存在診断のみを行った検討であり,全体としてのPTSの発生頻度を検討する際にのみ今回の検討に加えた.

結果

 圧迫療法が施された338例のうち,308例(91%)で膝下ストッキングが,17例(5%)で膝上ストッキングが,また13例(4%)で膝上までの弾性包帯が用いられていた.軽症~中等症のPTSの発生は,治療群の296例中64例(22%),コントロール群の284例中106例(37%)にみられた(図1.相対リスク;0.52,95%信頼区間;0.40-0.67).重症のPTSは,治療群296例中14例(5%),コントロール群284例中33例(12%)に発生した(図2.相対リスク;0.38,95%信頼区間;0.22-0.68).軽症,重症にかかわらず全体としてのPTSの発生頻度(Ginsbergらの検討も含む)は,治療群で338例中89例(26%),コントロール群で324例中150例(46%)であった(図3.相対リスク;0.54,95%信頼区間;0.44-0.67).

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