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第37回 生理的な役割を持ったネクローシス型細胞死
THE LUNG perspectives Vol.28 No.1, 72-76, 2020
連載第1回(Vol.27 No.4)では,近年その存在が広く認識され始めた「制御されたネクローシス型細胞死」について概説した.その中で,アポトーシスだけでなく非アポトーシス型(ネクローシス型)の細胞死にも遺伝子的な制御を受けているものが多く存在することを理解していただいたと思う.それらの制御されたネクローシス型細胞死の知られている役割は,炎症や虚血・再灌流傷害,神経変性など疾患に関連した病理的なものがほとんどである.しかし最近,生体の恒常性の維持や胚発生時の形態形成に関わる生理的な細胞死においても,制御されたネクローシス型細胞死が役割を果たしていることが報告され始めた.そこで今回は,生理的な役割を持ったネクローシス型細胞死について解説したい.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。