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第一線で働く医師たちからのオピニオン

徹底した問診,共感により,患者さんに笑顔を

冨田和宏

THE LUNG perspectives Vol.27 No.3, 76-79, 2019

私は幼少の頃から,重い小児喘息を患っていました.発作が起きるたび,病床からじっと天井を眺めては「なぜ自分は喘息になったのか」「なぜこんな苦しい思いをしなければいけないのか」と嘆いていたことを思い出します.
当時の喘息治療は現在のものと異なり,吸入ステロイド薬はまだ普及しておらず,エビデンスに乏しく,体質改善のためと,古典的な減感作療法や乾布摩擦などの民間療法に励む毎日でした.そして,小学生になると,「発作の苦しさから開放されたい」「発作が起こる理由を知りたい」という思いから,将来は医師になることを決心していました.
実家はもともと,祖父まで7代続いた医師の家系でした.その祖父は金沢大学在学中,突然法医学の勉強をすると言い出し,田畑をすべて売って北海道大学に入学したと聞いています.その後,法医学博士となり,伊達赤十字病院の副院長を務めましたが,後に糖尿病を発症,高額だったインシュリン代を捻出できず37歳で亡くなったそうです.
私の父は,幼少期こそ裕福だったものの,祖父の死後は苦労を重ね,夜間高校から北海道大学農学部に進学,岐阜大学農学部で教授となりました.祖父,父の経歴を知っている私は,どこか頭の片隅に,冨田家の医師を復活させたいという考えがあったのかもしれません.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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