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特集 呼吸器疾患鑑別のための画像診断―読影のキーポイント―

構造破壊肺にみられる肺癌非典型例

栗山啓子

THE LUNG perspectives Vol.27 No.2, 24-27, 2019

慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎(IP)などの肺実質の構造破壊を伴う肺では,肺野型肺癌の進展は制限されて非典型像を呈する.胸部X線像では構造破壊された肺実質の線状影や網状影との重なりのために,病変の検出が困難な場合がある.高分解能CT(HRCT)でも非典型的な進展を呈するために形態診断には限界があり,経過観察による倍加時間の推測が唯一の手がかりになる場合がある.肺癌の早期発見には結節や腫瘤を探すのではなく,肺癌の可能性を考えて,不整形陰影や比較読影で出現した限局性陰影も慎重に経過観察することがコツである.また,IPに合併する肺癌は倍加時間が短く,短い間隔で経過観察し,増大を認める場合は気管支鏡による確定診断やFDG-PET/CTで質的診断を積極的に試みる必要がある.
「KEY WORDS」CT,肺癌,肺気腫,気腫合併肺線維症,CPFE

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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