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特集 喫煙のサイエンスⅢ

喫煙が経済に与える影響

野村英樹

THE LUNG perspectives Vol.27 No.1, 11-15, 2019

国内の紙巻きタバコ販売本数は1996年をピークに減り続け,2015年時点で半数近くに減少しているが,これまでに行われた6回の値上げにより販売代金は年間4兆円前後を維持しており,タバコ税収も2兆円強で安定している.増税時の便乗値上げと安価な輸入原料(単価は国産の三分の一)へのシフトにより,日本たばこ産業(JT)は空前の利益を上げている.葉タバコ農家の数は,政府の転作奨励金などによりJT民営化の時点から15分の1に減少している.複数の試算では,タバコは国内で年間4兆円以上の経済的損失を与えていることが示されているが,これはすべての損失を網羅することができていないため,総損失額はさらに大きいものと考えられる.屋内公共施設と職場を全面禁煙化することにより4兆1,544億円のプラスの経済的効果が得られるが,分煙規制に留まった場合には1兆1,628億円のマイナスの影響が生じると試算されており,喫煙による経済的損失の対策では,全面禁煙化が唯一の解である.
「KEY WORDS」喫煙,受動喫煙,タバコ税収,経済的損失,全面禁煙,経済効果

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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