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特集 急性期の呼吸器管理を検証する

基礎医学とのダイアローグ

1.LRGは肺線維症を助長する

本田宏美藤本穣仲哲治

THE LUNG perspectives Vol.26 No.3, 66-70, 2018

肺線維症は進行性かつ難治性の疾患であり,病態の解明と新たな治療法の開発が望まれている.病的線維化の重要な機序の1つはTGF-βシグナルの異常による線維芽細胞の過剰な活性化であると考えられている.近年,TGF-βシグナルの新たな調節因子としてleucine-rich α-2 glycoprotein(LRG)が報告され,各種疾患における役割の検討が進んでいる.我々は,新規バイオマーカー探索を目的として行ったプロテオーム解析から関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの疾患活動性マーカーとしてLRGを見出し,以後LRGが腫瘍の増殖,血管新生,T細胞の分化など様々な局面においてTGF-βの機能を調節することを明らかにしてきた.本稿では,組織の線維化におけるLRGの役割について,LRG欠損マウスで作製した肺線維症モデルの解析から得られた結果を基に概説する.
「KEY WORDS」線維化,TGF-β,Smad2,線維芽細胞

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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