特集 アンチテーゼとしての難治性呼吸器疾患の個別化医療
序文
THE LUNG perspectives Vol.26 No.2, 16, 2018
疾患の領域を問わず,診療ガイドラインと称する書籍が数多く発行されていますが,その多くは,ある条件下で行われた治験などを含めた臨床研究の結果を踏まえて作成されたものです。すなわち,対象とされている患者の主病態は,原則的に単独の疾患によりもたらされ,類似病態を示す疾患は研究対象から除くことを前提として行われた研究の成果に基づいています。しかし,日常的な臨床現場で実際に遭遇する患者はそのような限定された前提条件とは異なり,複合的な病態を併存しており,決して単一的な病態で占められているものではありません。また,我が国の(超)高齢化社会といった人口構造を鑑みる時,年齢を加味したうえでの疾患管理治療の到達点や目指すべき健康状態をどこに定めるかなど,臨床現場で日常的に直面する様々な課題に対して,医学的あるいは科学的な検討がいずれの分野においても充分になされているとはいえません。今日,ますます「個別化医療」の重要性が多くの医療分野において指摘されている原点の1つがここにあります。
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