真菌症全体が大きな変革期を迎えているが,肺における糸状菌感染も例外ではない。菌種でみると,アスペルギルス以外に,真正担子菌(いわゆるキノコ類),スケドスポリウムなどが増加しており,さらにアスペルギルスにおけるアゾール耐性も急増している点は大きな問題である。診断法開発ではMALDI-TOF MSを用いた迅速同定法が登場した。糸状菌に関してはまだ基礎となるデータベースが未完成だが,今後が期待される。また,上記の耐性菌増加を踏まえた耐性菌感染症の診断技術が注目される。治療ではposaconazoleとisavuconazoleの上市が我が国でも着々と近づいており,開発中の新薬を含めて今後を期待したい。
「KEY WORDS」真正担子菌,薬剤耐性,TDM,posaconazole,isavuconazole