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患者から医師へのシグナル

日々のなかでみつける“笑い”を支えに

中野目登

THE LUNG perspectives Vol.25 No.4, 102-105, 2017

最初に自分の体に異変を感じたのは,ひどい咳が続いたことでした。しばらくして,坂道を登ったり,階段を上がったりすると息苦しくなり,途中で休憩しなければ歩くことができなくなりました。さらには重い荷物を持っても息切れするようになったのです。それまで味わったことのないしんどさに「これはおかしい……」と思い,2004年9月に川崎市立川崎病院を受診しました。この時,私は50歳でした。自分としては心臓の病気なのではないか? と何となく思っていたのですが,下された診断は「肺気腫」。現在でいうCOPDですね。思いもよらない病名でしたし,正直なところピンときませんでした。
治療が始まりましたが,働き盛りでしたし,そう頻繁に仕事を休んで通院するわけにもいきません。そこで土曜日も診察している東京都済生会中央病院を紹介していただき,そちらに通院することになりました。先生には,原因はタバコといわれました。実際に私は,ひどいニコチン中毒だったのです。若い頃から吸っていたタバコの量は1日1箱から2箱へと増えていき,COPDと診断される1年ほど前には1日100本になっていました。いわゆるチェーンスモーカーで,口に1本くわえて灰皿に1本置き,さらにもう1本に火を点けようとするような状態でした。今思えば異常でしたね。タバコを吸っていないと禁断症状が出るような感じで,アルコールや薬物の依存症と同じような状態だったのだと思います。
済生会病院の先生には,「今の状態でタバコを吸い続けたら1年ももたないですよ」と強い言葉で禁煙を勧められました。そして「今すぐタバコをやめたら,10年はもちます」と言われたのです。それまで家族には「死んでもタバコはやめないよ」と言っていたくらいでしたが,あの日以来,タバコは一切吸っていません。その時の先生には強烈な言葉でもってとても驚かされたわけですが,あのような強い言葉でいさめられなかったら,きっとタバコを止めきれていなかったのではないかと思います。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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