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第一線で働く医師たちからのオピニオン

ローカルで考え,グローバルに行動する―頴田病院再生に向けた取り組み―

本田宜久

THE LUNG perspectives Vol.22 No.4, 95-98, 2014

「家庭医療で地域の病院を再生する」当院が立地する福岡県飯塚市は福岡県の中央部に位置する筑豊地方の中心都市です。人口10万対医師数は286人と全国水準と比較しても多く,医療過疎とは縁遠い地域といえるでしょう。この背景には,九州大学病院に比肩する病床数と規模を誇る飯塚病院をはじめ,飯塚市立病院・済生会飯塚嘉穂病院などの中核的医療機関が複数あること,また飯塚病院が1989年より臨床教育病院に指定され,多くの医師を輩出してきたことなどが考えられます。私も飯塚病院で研修を受けて医師になった1人であり,研修修了後は呼吸器内科医として飯塚病院に勤務しました。呼吸器疾患の患者さんを診療するなかで「退院後,この患者さんはどうなっていくのだろうか」と感じることが何度もありましたが,急性期病院では退院後の患者さんを継続して診療することはできません。しかも,飯塚市内には当時,慢性期・回復期を担うべきリハビリテーション施設が少なく,退院された患者さんの多くが転出目的で市外へ流出していることが明らかになりました。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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