MEDICAL TOPICS
第52回 エクソソームを介するmicroRNAの細胞間移動と癌悪性化制御
The role of exosomal microRNAs in cell-cell communication and cancer development
THE LUNG perspectives Vol.22 No.4, 76-81, 2014
「歴史的背景」 癌細胞における腫瘍の増殖,転移や浸潤などの悪性化において,近年腫瘍の微小環境における癌細胞と周辺細胞との相互作用が重要であると考えられるようになった。これまでにも接着因子,細胞外基質,サイトカインやケモカインといった分泌因子などが関与していることが明らかにされている。癌細胞と周辺細胞の相互関係はさまざまな制御因子が深く関わっていることが予測され,そのコミュニケーションを制御する新たな分子機序の解明が進んでいる。われわれは,細胞外小胞顆粒である「エクソソーム」が新たな細胞間コミュニケーションの手段として重要であると考えている。エクソソームは約100nmの小胞顆粒であり,さまざまな細胞から分泌され,細胞の恒常性や病態制御において重要な役割をしていると考えられている。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。