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最新文献紹介

Zeste homolog 2 enhancerの抑制は,高尿酸血症による腎障害を軽減する

今田恒夫

高尿酸血症と痛風 Vol.27 No.2, 91, 2019

高尿酸血症による腎障害には,尿酸結晶依存性と非依存性の2つの機序が関与しており,尿酸結晶非依存性の障害では,尿酸が細胞に直接作用して,酸化ストレスの産生やさまざまな転写因子やケモカイン/サイトカインの活性化を介して,糸球体硬化や尿細管間質線維化を引き起こすと考えられている。
最近,DNA配列に影響を与えないエピジェネティックな修飾が,線維化などの病変形成に関連する遺伝子の発現を制御することが明らかになった。筆者らは以前,高尿酸血症による腎障害とエピジェネティックな修飾の1つであるヒストンのアセチル化やメチル化が相関することを報告したが,その詳細な機序は未解明であった。エピジェネティックな遺伝子修飾で作用する酵素の1つに,ヒストンH3のリジン27をメチル化するenhancer of zeste homolog 2(EZH2)があり,腫瘍形成や線維化への関与が示されている。EZH2の過剰発現は閉塞性腎障害においても認められ,EZH2発現の抑制により線維化が軽減されることが報告されている。
本研究では,培養腎細胞と高尿酸血症による腎障害マウスを用いて,EZH2の阻害が高尿酸血症による腎障害を抑制するか検討している。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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