特集 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン改訂―関連する診療ガイドラインにおける高尿酸血症の位置づけ―
2.腎性低尿酸血症診療ガイドライン
高尿酸血症と痛風 Vol.27 No.2, 24-29, 2019
腎性低尿酸血症は,尿細管障害を認めないにもかかわらず,腎臓における尿酸排泄が亢進して低尿酸血症をきたす疾患である。その原因は,近位尿細管の管腔側膜と血管側膜にそれぞれ発現し,尿酸の再吸収方向に働くトランスポーターであるURAT1/SLC22A12またはGLUT9/SLC2A9の欠損である。低尿酸血症自体による症状は認めないが,合併症として運動後急性腎障害と尿路結石を認めることがある。運動後急性腎障害は,比較的強い腰背部痛や嘔気,嘔吐を伴う急性腎障害である。無酸素運動により誘発されやすく,虚血再還流障害や尿細管への尿酸の析出沈着による腎障害による機序が考えられている。腎性低尿酸血症が日本人に多いこともあり,腎性低尿酸血症診療ガイドラインが作成された。本ガイドラインは2つのクリニカルクエスチョンと教科書的記載により構成され,診断指針と診療アルゴリズムを提供している。
「KEY WORDS」腎性低尿酸血症,運動後急性腎障害,URAT1/SLC22A12,GLUT9/SLC2A9,キサンチンオキシドレダクターゼ
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。