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血清尿酸値に影響を与える薬剤

第8回 糖尿病治療薬─経口血糖降下薬と尿酸代謝

嶺尾郁夫竹之下優友田如出口有近岡内幸義

高尿酸血症と痛風 Vol.25 No.2, 96-102, 2017

糖尿病は,インスリン作用不足によって惹起される多様な疾患群であり,高血糖と尿糖排泄を主徴とする。尿糖排泄が尿中への尿酸排泄を促進する結果,血清尿酸値が低下することは,以前から示唆されてきた。最近,グルコースクランプ法を用いて,高血糖に伴う尿糖排泄が,血清尿酸値や尿中尿酸排泄と関連することが示された1)。しかし,尿糖排泄と尿酸排泄がリンクする分子メカニズムは十分に解明されていない。一方,インスリン自体は尿中尿酸排泄を阻害することが知られている2)。したがって,糖尿病初期でインスリン分泌能が保持されている病期には,インスリン抵抗性に対する代償性高インスリン血症によって血清尿酸値は上昇する。しかし,インスリン分泌能が低下して,顕著な高血糖状態に至れば,尿糖排泄が増加して血清尿酸値は低下するのである。中年男性を対象としたコホート研究によれば,血清尿酸値は空腹時血糖値が144mg/dLまでは血糖値とともに上昇するが,これを超えると低下するとされる3)。このような理由で,高血糖を是正するすべての糖尿病治療薬は,尿糖を低減することにより,糖尿病患者で低下した血清尿酸値を上昇する方向に作用するということがいえる。ただし,インスリン感受性改善を主体とする糖尿病治療薬は,高インスリン血症を是正することで,血清尿酸値の降下作用を示すのである。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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