その他
新編集主幹より
排尿障害プラクティス Vol.30 No.2, 1, 2023
私が下部尿路機能障害(lower urinary tract dysfunction)の世界に足を踏み入れたのは,1982年金沢大学医学部を卒業し同大泌尿器科学教室に入局した直後になります。たまたま座った席の後方に講師の川口光平先生(故人)がいらっしゃいまして,「イヌの実験の手伝いをしてくれないか」とのお願いに,何の研究なのか全くわからずに「はいはい」と二つ返事で助手をさせていただきました。石川県の能登方面から野犬狩りで連れてこられた気性の荒いイヌ相手に,押さえつけながら麻酔をして,飛び散る糞尿と格闘しながらお手伝いさせていただいたのを覚えております。「大変な研究班に入っちゃったなぁ」と後悔しましたが時すでに遅しで,研究成果が次々に出て,その3報目「膀胱血流障害による膀胱壁内神経の変性に関する実験的研究」を私の学位論文として提出することができました。それから10年目の1992年,市中の病院から大学助手(現在の助教)採用となり,またそれから10年の2002年福井医科大学(現在の福井大学)医学部泌尿器科学教室へ赴任いたしました。その年,教室内に下部尿路機能のラボを開設し,ラットとマウスを相手に基礎研究と疫学研究を軸に下部尿路機能障害を教室のメインのテーマとして微力ながらこの領域での研究を始めました。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。