男性の下部尿路症状(lower urinary tract symptoms;LUTS)は,前立腺肥大をはじめとしたさまざまな要因によって引き起こされる。治療に関しては,自他覚所見の違いによってα₁受容体遮断薬,5α還元酵素阻害薬,抗コリン薬,β₃アドレナリン受容体遮断薬,ホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬などの単独,あるいはそれらを併用した薬物療法が中心的な役割を果たしている。そのなかでもPDE5阻害薬であるタダラフィルは,NO-cGMP-PDE5経路を介して膀胱,前立腺,尿道の平滑筋の弛緩などさまざまな作用機序を有し,男性LUTSの改善に寄与すると考えられている1)。
一方,最近の報告によると,骨盤内の血流不全による膀胱虚血などによって引き起こされる慢性的な酸化ストレスへの曝露は,特に過活動膀胱(overactive bladder;OAB)の原因となり得るとされ,OABをはじめとしたLUTS患者では,コントロール患者と比較して酸化ストレスのバイオマーカーである8-ヒドロキシ-2’-デオキシグアノシン(8-OHdG)が高値であることが知られている2)。また,タダラフィルが酸化ストレスの軽減に寄与することも基礎実験では報告されている3)。しかし,タダラフィルのLUTSに対する効果と酸化ストレスマーカーの変化との関係について検討した臨床研究はこれまでになかった。
そこで今回われわれは,男性LUTSのなかでも特に酸化ストレスとの関連が強いとされるOABについて,タダラフィルの効果および酸化ストレスマーカーの1つである尿中8-OHdGの治療前後における変化について検討した。
一方,最近の報告によると,骨盤内の血流不全による膀胱虚血などによって引き起こされる慢性的な酸化ストレスへの曝露は,特に過活動膀胱(overactive bladder;OAB)の原因となり得るとされ,OABをはじめとしたLUTS患者では,コントロール患者と比較して酸化ストレスのバイオマーカーである8-ヒドロキシ-2’-デオキシグアノシン(8-OHdG)が高値であることが知られている2)。また,タダラフィルが酸化ストレスの軽減に寄与することも基礎実験では報告されている3)。しかし,タダラフィルのLUTSに対する効果と酸化ストレスマーカーの変化との関係について検討した臨床研究はこれまでになかった。
そこで今回われわれは,男性LUTSのなかでも特に酸化ストレスとの関連が強いとされるOABについて,タダラフィルの効果および酸化ストレスマーカーの1つである尿中8-OHdGの治療前後における変化について検討した。