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特集 前立腺における炎症の新しい展開

【臨床編】ヒト前立腺組織を用いて炎症と下部尿路機能障害との関連を考える

稲村聡

排尿障害プラクティス Vol.26 No.2, 50-55, 2018

前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia;BPH)患者において,慢性炎症は病態の形成,病勢の進行に関わる重要な因子の1つである。原因は,細菌感染,尿の逆流による化学的な炎症,食事,ホルモン,自己免疫反応などが考えられており,これら複数の要因が複雑に絡み合って病態が形成されているものと考えられる。慢性炎症は一般的に,組織へのリンパ球の浸潤と定義され,高内皮細静脈様血管(high endothelial venule-like vessel)を介して起こる。これまでのBPHと慢性炎症に関する研究をまとめると,慢性炎症は前立腺体積の増大,機械的・機能的閉塞の増強,機能的膀胱容量の減少,排尿障害に関する自覚症状の増悪に深く関与していることが示唆される。
「KEY WORDS」慢性炎症,リンパ球ホーミング,HEV-like vessel,Pressure-Flow Study,下部尿路閉塞

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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