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特集 脊髄損傷と排泄障害

尿失禁対策―抗コリン薬

橘田岳也田中博三井貴彦菅野由岐子千葉博基守屋仁彦野々村克也

排尿障害プラクティス Vol.20 No.3, 27-32, 2012

脊髄損傷の尿失禁の多くは反射性尿失禁と腹圧性尿失禁であり, 前者は排尿筋過反射, 後者は低コンプライアンス膀胱や内因性尿道括約筋不全に起因する場合が多い. 反射性尿失禁に対しては, まず間欠導尿などの適切な尿路管理で対処するが, 無効な場合には抗コリン薬の内服治療を考える. 抗コリン薬による治療の効果が不十分な場合や口渇などの有害事象が問題となる場合には保険適応外の治療であるが, オキシブチニン塩酸塩の膀胱内注入療法も考える. 低コンプライアンス膀胱に伴う腹圧性尿失禁に対しては, 頻回の間欠導尿に加え抗コリン薬により膀胱内圧低圧に保つことで尿失禁の軽減を得られる. また, 尿道括約筋機能障害に伴う腹圧性尿失禁に対してはα1刺激薬やβ2刺激薬などを使用するが, 効果が不十分なことが多く, 高度の尿道括約筋機能障害に対しては手術療法が必要となる.
「はじめに」脊髄損傷に起因する神経因性膀胱においては, 膀胱尿管逆流や水腎症などの上部尿路障害, さらに腎機能障害など生命予後に直結する問題が優先され, 尿失禁など脊髄損傷患者の生活の質(QOL)に関しては従来軽視される傾向にあった.
「Key Words」脊髄損傷, 尿失禁, 過活動膀胱, 低コンプライアンス膀胱, 内因性尿道括約筋不全, 抗コリン薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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