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特集 脊髄損傷と排泄障害

特集に寄せて

柿崎秀宏

排尿障害プラクティス Vol.20 No.3, 5, 2012

2005年に『慢性期脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドライン』が発刊されたが, 残念ながらその認知度は低く, 臨床現場において十分に活用されていたとはいえない. ガイドラインの改訂にあわせて内容が一新され, 2011年9月に『脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドライン』として単行本の形で出版された. 改訂のポイントは, (1)外部委員の充実, (2)クリニカルクエスチョン(CQ)形式の採用, (3)推奨グレードの設定, (4)日本排尿機能学会と日本脊髄障害医学会の共同編集, (5)利益相反の開示, などである. ガイドライン作成に関与したのは, 12名の泌尿器科医と6名の外部委員である. 作成されたガイドラインは日本排尿機能学会と日本脊髄障害医学会のホームページ上に公開し, 広く学会員の意見を求めて追加訂正したうえで, 日本泌尿器科学会診療ガイドライン評価委員会の承認が得られている. 改訂されたガイドラインでは, 脊髄損傷における排尿障害の診療アルゴリズムと各排尿管理法の長所と短所がまず記載されている. その後, 疫学, 診断, 治療, 尿路感染症の項目順に重要なCQとその回答・解説が記載されており, 最後にその他として, 脊髄損傷患者における自律神経過緊張反射や夜間多尿への対処法, 膀胱癌の発生, 排尿法とQOLの関係など記載されている. 最初のガイドラインと比較して格段に読みやすく, CQの総数は44題を数え, 多くの重要事項を取り上げている. 本特集では, 『脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドライン』の中から, 特に重要と思われる項目を選び, ガイドラインの各項目を担当した諸先生に執筆をお願いした. 各先生からは貴重な情報に満ちた珠玉の原稿をお寄せ頂き, この誌面を借りて深謝申し上げる. 診療ガイドラインの命は, いかに臨床現場で活用されるかにある. 脊髄損傷患者の診療にあたる医療従事者すべてを対象としたこのガイドラインが広く普及し, 脊髄損傷における排尿障害が正確に診断され, 適切な排尿管理が普遍的に実践されるよう切望している. 本特集がその一助となれば, 望外の喜びである.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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