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メタボリックシンドロームと排尿障害

メタボリックシンドロームとLUTS治療

野口満魚住二郎

排尿障害プラクティス Vol.19 No.1, 38-44, 2011

 メタボリックシンドロームと下部尿路症状は深く関連することがわかっている.悪しき生活習慣の積み重ねからくるインスリン抵抗性,内臓脂肪組織の異常が病態の本体である.これにより,交感神経活動亢進による下部尿路症状,前立腺肥大症,過活動膀胱,夜間頻尿など蓄尿症状,排尿症状ともに症状を呈してくる.これらに対する治療は,発症メカニズムから,メタボリックシンドロームの治療,生活習慣の改善,下部尿路症状の治療の3つの治療が同時に行われて効果があるもので,単独での治療では不十分でありLUTSの進展,重症化を来すことになる.メタボリックシンドロームによるLUTSの発生メカニズムに則し,文献的考察を交えてLUTS治療を紹介する.

Key words
メタボリックシンドローム,LUTS,生活習慣,治療

はじめに

 メタボリックシンドロームと下部尿路症状(lower urinary tract symptoms;LUTS)との関連がここ数年多く報告されている1-3).また,メタボリックシンドロームの原因となる生活習慣がLUTS発生と深く関連する4)ことも周知されつつある.これらの疾患は中高年に多く,agingに伴う前立腺肥大症(BPH)による排尿障害や過活動膀胱(OAB)発生と時期を同じくする.このため,メタボリックシンドロームによるLUTSの治療は,BPHやOABなど本来のLUTS治療のみならず,メタボリックシンドロームに対する治療およびコントロールがなされなければ十分な効果は得られない.さらに,メタボリックシンドロームに対する治療は,LUTSの重症化を防ぐだけでなく新たなLUTSを予防する可能性もある.一方,メタボリックシンドロームによるLUTSの治療法に特別な治療が現在あるわけではなく,他の原因によるLUTSと同様に一般的な治療が行われている.さらに,メタボリックシンドロームによるLUTSと非メタボリックシンドロームによるLUTSの治療効果に違いがあるのかもわかっていない.今後メタボリックシンドロームとLUTSの関連研究が進んでいくにつれ,その発生メカニズムに見合ったLUTS治療の提唱が期待される.本稿では,現在のメタボリックシンドロームによるLUTS治療について概説する.

Ⅰ 生活習慣の改善

 先にも述べたように,LUTSの治療のみならずメタボリックシンドローム自体のコントロールが,LUTS治療および予防にも必須となる.なかでもメタボリックシンドローム形成の元となる悪しき生活習慣の是正は,LUTS改善に有用である.表1に示すような生活スタイル改善介入はweight controlとなり,LUTSの改善効果に繋がる.

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