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特集 ガイドラインに基づいた心不全診療のスタンダード

座談会 心不全診療ガイドライン改訂のポイント

筒井裕之絹川弘一郎佐藤直樹牧田茂

CARDIAC PRACTICE Vol.30 No.2, 63-68, 2019

筒井 急性心不全と慢性心不全の2つに分かれていたわが国の心不全治療ガイドラインが改訂を機に一本化され,2018年に「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」(以下,ガイドライン)として公表されました1)。改訂のポイントは多岐にわたりますが,まずは心不全の定義を明確化し,一般向けにも「心不全とは,心臓が悪いために,息切れやむくみが起こり,だんだん悪くなり,生命を縮める病気です」というわかりやすい定義が記載されています。
また,心不全とそのリスクの進展のステージが4つに分けられています。ステージAとBは症候性の心不全を発症していない状態で,ステージAは高血圧や糖尿病など心不全のリスクとなる疾患を発症した段階で器質的心疾患のないリスクステージ,ステージBは左室肥大などの心臓に器質的な異常を認めるリスクステージとしています。さらに進行すると心不全症候が出現し,急性増悪と寛解を繰り返しながら徐々に身体機能が低下するステージC,治療抵抗性や難治性,末期の心不全と表現されるステージDに至ります。そして,ステージC以降は寛解と増悪を繰り返しながら徐々に身体機能が低下し,最終的には死に至る可能性のある疾患としています。このように,心不全の病態の進展を時系列で捉えることが重要であり,このことを医療従事者も患者もよく認識しながら治療を進めていく必要があります。加えて,各ステージにおける治療目標については,ステージAは危険因子のコントロールと器質的心疾患の発症予防,ステージBでは器質的心疾患の進展予防と心不全の発症予防,ステージCとDでは症状コントロール,quality of life(QOL)改善,入院予防・死亡回避,緩和ケア,再入院予防,終末期ケアなどとしています。
さらに,心不全の重症度分類については,カテーテルを用いた血行動態からみるForrester分類,身体所見から簡便に病態を評価するNohria-Stevenson分類,急性期の初期対応のために血圧を軸としたクリニカルシナリオ分類の3つの方法が紹介されています。なかでも,低灌流所見およびうっ血所見から心不全患者のリスク層別化をするNohria-Stevenson分類は簡易で非観血的に評価できる方法であり,これらを用いて心不全の重症度をしっかりと評価して治療方針を立てていくことが重要となります。
本座談会では,合同研究班の班員または協力員としてガイドラインの策定に携わった先生方から,心不全の診断と治療に関するガイドラインの改訂ポイントを中心にお話を伺っていきたいと思います。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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