特集 循環器疾患を見据えた糖尿病治療戦略
臨床 糖尿病薬は循環器治療を変えるか 不整脈と糖尿病
CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.3, 29-33, 2018
現在,世界では20~79歳の約9%,約4億2,500万人が糖尿病に罹患しており,今後も増加すると予想されている1)。一方,糖尿病が主要な心血管病リスク因子であることは周知の事実である2)。最近,不整脈と糖尿病の関連が多く報告されるようになった。Framingham研究において,平均38年間の追跡期間において糖尿病は心房細動の独立した予測因子であった3)。また,近年のメタ解析研究では,糖尿病患者は,糖尿病のない群と比較して,心房細動発症リスクが約40%上昇していた4)。一方で,低血糖エピソードが心室不整脈を増悪させるとの報告もある5)。しかし,なぜ糖尿病が不整脈を発症,増悪させるかについての機序は不明な点が多い。本稿では,基礎研究と臨床研究の報告を交えながら,不整脈と糖尿病の関連について概説したい。
「KEY WORDS」diabetes,atrial fibrillation,ventricular arrhythmia
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