特集 循環器疾患を見据えた糖尿病治療戦略
基礎 動脈硬化と糖尿病
CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.3, 23-27, 2018
糖尿病患者の心血管疾患による死亡率が非糖尿病患者に比べ高いことはFramingham研究により示されている。日本人を対象とした近年の研究でも,31,192人を12.9年前向きに観察したところ,全冠動脈疾患発症のハザード比は,非糖尿病群を1とした場合,糖尿病群では3.05であったと報告されている1)。心血管疾患の主な原因は動脈硬化による大血管合併症による。高血糖やインスリン抵抗性の高い状態では,血管内皮は傷害を受け,元来備わっている恒常性維持機能が失われ,動脈硬化病変が生じやすくなる。また最近では,脂肪組織に生じる炎症が,インスリン抵抗性に関連すると考えられている。さらに,血管周囲脂肪組織の炎症は,隣接する血管に直接作用を及ぼし,動脈硬化病変を悪化させる可能性があることも報告されている。
「KEY WORDS」血管内皮機能障害,慢性炎症,インスリン抵抗性,cell-free DNA,血管周囲脂肪組織
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