<< 一覧に戻る

特集 交感神経と循環器疾患Revisited

臨床 心不全と交感神経

Sympathetic Nervous System in Heart Failure

絹川真太郎筒井裕之

CARDIAC PRACTICE Vol.23 No.2, 71-75, 2012

「はじめに」 心臓に障害が起こると, 低下した心機能を維持するためにさまざまな代償機構が働く. レニン・アンジオテンシン(RA)系や交感神経系の活性化は, きわめて重要な代償機構である. 心機能障害の初期にはこれらの神経体液性因子の活性化は生命維持に重要であるが, 長期にわたると心筋の形態や機能を悪化させ(心筋リモデリング), 結果として心不全の進展にかかわっている. 本稿では, 心不全における交感神経活性の働きについて概説する. 「心臓における自律神経系」 心臓の生理学的反応は, 自律神経によって制御されている. 交感神経は心拍数, 心収縮力を増加させ, 抵抗血管を収縮させ, 副交感神経は心拍数を減弱する. 末梢に存在する複数の受容体からの求心性インプットが求心性神経を通して中枢神経系へ運ばれ, 遠心性の刺激は中枢神経から発生し, それぞれの臓器へ伝えられる(図1). たとえば, 血圧が低下すると頸動脈の圧受容器がこれを感知し, 求心性神経の電気活動が減少し, 孤束核の活動を低下させる.
「KEY WORD」心不全,交感神経,神経体液性因子,心筋リモデリング,β遮断薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る