症例による病態栄養講座
第80回 低リン血症患者の栄養管理
Nutritional management for hypophosphatemic patients
掲載誌
栄養-評価と治療
Vol.31 No.2 5-9,
2014
著者名
下地彩
記事体裁
症例
/
抄録
疾患領域
循環器
/
糖尿病
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呼吸器
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腎臓
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血液
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神経疾患
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骨・関節
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栄養管理
診療科目
循環器内科
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呼吸器内科
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整形外科
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形成外科
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腎臓内科
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糖尿病・代謝・内分泌科
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泌尿器科
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神経内科
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血液内科
媒体
栄養-評価と治療
[Point] 高度のるい痩や長期にわたる低栄養状態からの栄養投与開始時には, 低リン, 低カリウム血症によるrefeeding syndromeの発症リスクが高く, 注意が必要である. 高リスク症例の栄養投与開始時には, まず血清IPを含む電解質, 心機能, 腎機能, 肝機能などの総合的な評価を行う. そして栄養投与開始後も, 電解質などの頻回のモニタリングを行い, 必要に応じて電解質を補正しながら緩徐に投与エネルギーを増量し, 目標エネルギーの達成を図ることが重要である. [I. はじめに] リンは細胞膜の構造維持に不可欠で, 多くの細胞内の酵素や補酵素の構成成分である. さらに, エネルギーとしてアデノシン三リン酸(ATP)のかたちで貯蔵・利用され, ヘモグロビンにおける酸素運搬にも関与し, 腎臓における酸-塩基バランスの緩衝にも重要である. 低リン血症は, 赤血球内のリン減少による各組織への酸素供給低下およびリン減少によるエネルギー代謝障害を引き起こす(表1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。