<< 一覧に戻る

特集 第35回日本栄養アセスメント研究会発表演題より

要介護高齢者の体重減少の要因分析

Factors for weight loss in community-dwelling dependent ekderly

榎裕美長谷川潤廣瀬貴久岡田希和子井澤幸子井口昭久葛谷雅文

栄養-評価と治療 Vol.30 No.1, 43-46, 2013

「SUMMARY」居宅療養の要介護高齢者613名(平均年齢80.8±7.8歳)を対象として, 体重減少を引き起こす要因を分析した. 半年間に3kg以上の体重減少のあった体重減少群と体重減少がなかった体重維持群の背景因子の比較を行い, さらに体重減少の有無を従属変数としたロジスティック解析を行った. その結果, 居宅の要介護高齢者の体重減少の要因は, 嚥下機能に問題があることと食事摂取状況の悪化および直近3ヵ月間の入院履歴が関与している可能性が示唆された. 「I 緒言」高齢者の体重減少は, 重篤な基礎疾患のほかにも加齢を含む身体的要因, 社会的要因および心理的要因など多くの要因が絡みあって起こる1)2). また, 高齢患者における原因が明らかではない体重減少は, その2年後の死亡率との関連があるとの報告もあり3), 予後不良を示す重要な兆候であるといえる. 一方, われわれが以前行ったデイケアを利用する要介護高齢者の栄養状態と要介護度との関連を検討した研究では, 居宅高齢者において, 日常の要介護度が低いにもかかわらず栄養障害のリスクがある者が多く認められたことから, 居宅療養の高齢者では栄養状態が悪化していても見過ごされている可能性を報告している4).
「KEY WORDS」体重減少,低栄養,要介護高齢者

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る