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周術期の代謝栄養管理─ERASプロトコールを巡って─

肝臓外科手術におけるERASプロトコールの導入

Introduction of the ERAS protocol in liver surgery

海堀昌樹松井康輔石崎守彦權雅憲

栄養-評価と治療 Vol.29 No.2, 45-47, 2012

SUMMARY
結腸開腹切除術を対象に作成されたERASプロトコールは,現在では多くの術式が対象となっているが,肝臓外科手術においてはほとんど検討されていない。今回,関西医科大学附属枚方病院消化器外科の肝切除術にERASプロトコールを導入し,これまでの周術期管理を再検証した。検証項目は1.入院前の十分な情報提供と努力目標の確認,2.退院基準の明確化,3.術前腸管前処置の廃止,4.術前後の絶飲食の廃止,5.ドレーン廃止,6.術後経鼻胃管チューブ留置の排除,7.尿道カテーテル使用期間の短縮であった。パイロット試験を行った結果,肝切除術においても結腸切除術と同様にERASプロトコールが安全に導入可能であった。

KEY WORDS
■肝癌 ■障害肝 ■肝切除術 ■ERASプロトコール ■合併症軽減

Ⅰ はじめに

 近年,北欧諸国においてEvidence-Based Medicine(EBM)を基に作成された術後回復能力強化プログラムは,Enhanced Recovery After Surgery(ERAS)プロトコールといわれ1),当初は結腸開腹切除術を対象に作成されたプロトコールであった。現在では多くの術式が対象となっているが2)-5),肝臓外科手術におけるERASプロトコールに関してはほとんど検討されていない。そこで今回,われわれはこれまで行ってきた肝切除術における周術期管理を再検証し,肝切除手術における施設間共通のERASプロトコールを作成し,パイロット試験を試行した。

Ⅱ 対象と方法

 関西医科大学附属枚方病院消化器外科でERASプロトコールを導入した2011年4~9月までの肝切除症例43例を対象とした。男性23例/女性20例,平均年齢71歳(60~88歳),肝細胞癌31例/転移性肝癌11例/良性肝腫瘍1例,術前Child- Pugh分類クラスA42例/クラスB1例,平均血清アルブミン値4.4g/dℓ(2.7~4.9),総ビリルビン値0.8g/dℓ(0.2~1.7),プロトロンビン時間88%(67~109),インドシアニン・グリーン(ICG)15分停滞率14.1%(2.1~37.6)であった。手術術式は亜区域切除以上の系統的切除32例/部分切除11例であり,平均手術時間289分(141~427),平均出血量658㎖(237~1,920)であった。摘出標本からの病理組織学的検討では,腫瘍数1個30例/2個7例/3個以上6例,平均腫瘍径4.0cm(1.0~14.0),非腫瘍部背景肝は肝硬変12例/慢性肝炎18例/正常肝14例であった。これまで当科で行われてきた肝切除術における周術期管理項目と結腸開腹切除術のERASプロトコールを比較検討したところ,肝切除術において再検証しなければならない項目は7項目存在した(図1)。

それぞれの7項目に関して,従来法との相違,および達成率を検討した。

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